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Industry4.0 [経済ネタ]

情報技術( IT )はスマートフォンやパソコンのスマート化だけではとどまらない。次は、工場のスマート化だ。この挑戦に、国を挙げて試みようとしている国がある。ドイツである。現在、ドイツ政府は「Industry4.0」という高技術戦略を掲げ、世界中のあらゆる国から注目を集めている。

〔1〕「Industry4.0」を語る上で「IoT」と「ビッグデータ」という2つ の重要なキーワードを整理しておきたい。「IoT」とは、Internet of Thingsの略称で、建物や電化製品、自動車、医療機器など、パソコンやサーバーといったコンピュータ以外の多種多様な「モノ」がインターネットに接続され、相互に情報をやり取りすることである。一方、「ピックデータ」とは、インターネットの普及や、コンピュータの処理速度の向上などに伴い生成される、大容量のデジタルデータを指す。

〔2〕これまでのITの在り方は、CRMシステムといった「データを集める」という機能とSNSなどの「人と人をつなげる」機能が主に中心だった。スマートフォンを所持していれば、動画や写真をインターネット上に投稿することが出来る。また、それを様々な国の人が閲覧することが可能になった(特に、イスラム国がネット上に公開した動画の影響は多くの人々に世界のIT化を強く印象付けたのではないか)。現在では、個人単位、企業単位の多くの様々な情報のデータ化が進んでいる。TwitterやFacebookなどに投稿された個人の一日の何気ない投稿が、消費者動向のデータ収集などに繋がったりする。他にも、天気や気温、の情報もビッグデータだ。
このようなインターネットの普及とともに生まれてきた大容量のビックデータとIoTを前提に製造業に応用していこうというのが「Industry4.0」である。
  
〔3〕 Industry4.0は、ドイツの「政府」が国を挙げて推進する製造業の変革である。
Industry1.0が水と蒸気による機械化、industry2.0が電力を利用した生産モデル、industry3.0が電子とITシステムによる自動化であるのに対し、Industry4.0はCPSによる革命だと定義されている。
 CPSとは、「現実世界をセンサーやデータを通じてサイバー空間に取り込み、サイバー空間におけるシミュレーション/分析による解析結果や予測を現実社会にフィードバックする仕組み」である。
 Industry4.0では、開発から生産、サービスの製品製造までのプロセスで取り扱う情報を細かくリアルタイムに記録し、収集する。取得情報と既存情報を分析・解析し、製造装置の制御データや生産管理用のデータとして使うことで、刻一刻と変わる市場ニーズへの対応や、工場の稼働状況、原材料の状況に応じて「最適な製品」を「最適な時期」に「最適な量生産」をし、市場投入できるようにすることを狙う。
 「効率」「品質」「生産性」「信頼性」をCPSによって大幅に向上させ、かつ商品の市場投入までの時期を短縮する。まさに、製造分野のIoT/ビッグデータの応用である。
 こうした動きの前提になるのが、関連する情報の統合管理である。「顧客関係簡易(CRM)」、「製品データ管理(PDM)」、「製品ライフサイクル管理(PLM)」、「コンピュータによる設計(CAD)」の各情報を統合管理し、CPSで使うことが必要になる(近年の高度なIT化により、各管理情報をビッグデータとして、十分なデータ量を確保することが可能になりつつある)。
各情報を統合管理することが出来れば、サイバー上の空間でより現実に近い、分析をすることが可能になる。
そのためには、今までインターネットに接続していなかった工場や設備・機械を接続する必要性がでてくる。また、ネットワークやサイバー攻撃へのセキュリティ対策などの課題が出てくる。

〔4〕 アメリカのIndustrial Internetについても、目を向けておきたい。Industrial Internet をGE(General Electric)は、産業革命とIT革命に続く、新たな革命に位置付け、「アナリティックスの自動化と、実態に基づいた深いドメインごとの経験の蓄積による予測や自動化によっておこる変革」と定義している。
Industrial Internetは、種々の機械に対し、IoT接続の機能や解析に結び付けるための機能を与え、機器自身にIoTやビッグデータの発想に基づいた機能を標準装備しようというものだ。また、あらゆる資産を管理すると同時に、データを収集・分析・予測した結果を行動にフィードバックすることを可能にする。
 他にもモバイルのような使いやすさ、制御や分析・予測分野にも適用することで、機器、データ、人を有機的につなげられるようにし、高い汎用性と、セキュリティ対策を実現しようとするものである。それらに伴う課題は、Industry4.0と同じくサイバー攻撃対策や、データに対する強固なセキュリティ対策が課題である。

〔5〕これらを見てみると、Industrial InternetやIndustry4.0が、IoTやビッグデータの内臓を前提としたシステムとして考えられていることが良くわかる。これらの革命をするには、そのシステム導入に巨額な資金が必要とされるが、将来への大きな投資である。達成することができれば、国内の経済全体がより効率的になるかもしれない。これまで、「労働」が必要であった作業に労働が不必要になる。これにより失業者は増えることが予想されるだろう。しかし一方で、人件費の「労使交渉」のボイコットで財・サービスの生産が滞ることもなくなり、企業側はより効率的な生産活動ができる。他にも「斑」「無駄」のない同質な財・サービスの生産を可能にするだろう。

〔6〕ドイツとアメリカが意気込んでいる一方で、日本は今回、大きく出遅れた。第4次産業革命への具体的な戦略は今の政府はほとんど考えていない。他国が次々に第4次産業革命を達成してしまえば、日本経済の効率性とそれらの国の経済の効率性には大きく差がついてしまう。そうなれば、他国からのより安価な輸入品に国内産業が負けてしまう可能性がある。また、TPPの締結によりそれらにさらに拍車がかかる。第4次産業革命に出遅れてしまった日本は、それなりの損を被る可能性が大いにある。その損を拡大させないためにも、一刻も早い国家の第4次産業革命への戦略が求められている。

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